2010年8月15日日曜日

飴買い幽霊















 皆さんは「飴買い幽霊」というお話をご存じだろうか。
 臨月で亡くなった母親が、埋葬された後に棺桶の中で生まれた子供のため夜な夜な幽霊となり飴を買い求めるという話で全国各地に伝わっている。
 今年の2月に福岡市に転勤してきて会社の近くを散策していて偶然近くの安国寺というお寺に飴買い幽霊の墓があることを知った。
 京都には飴買い幽霊が買いに来た飴屋が現存するそうだが、墓があるのは私がインターネットで調べた限りではここだけである。
 お盆でもあることだし(?)参拝してみた。
 天神のかなり大きなお寺だが、境内は全く人気がない。本堂の脇にそのお墓はあった。
 見たことないような奇妙な形の自然石のお墓。
 向かって左にくっついている石にはかすかに「童女」の戒名が刻まれている。
 そう、寺の伝承によれば当時住職によって棺桶のなかで発見された赤ちゃんは間もなく息を引き取ったという。
 そのため改めて母子ともに葬られたのであろう。

 死してなお子を思う親の心に瞑目する。

 全国に伝わる同類型の話では、赤ちゃんは助かりのちに高僧となるパターンが多いのだが、この寺に伝わる話は悲しい結末となっている。

 なぜ、この話を思い出したのか。きっかけは最近の例のニュースである。鬱になるので自分の意識からシャットアウトして見ないようにしていたが、それでも事件の詳細が入ってきてやりきれなさが募る。
 子供を育てた方ならお分かりだと思うが、ゼロ歳児はこまめに世話をしなければすぐに死んでしまう。報道通り複数回にわたり長期間2人で放置されたことが事実であるなら、何らかの形で上の子が下の子の面倒を見ていたとしか考えられない。さみしかったろうに。ひもじかったろうに。

 亡くなった幼い2人の魂に幸あらんことを祈る。