2010年9月26日日曜日

「哲学的な何か、あと数学とか」



 フェルマーの最終定理をめぐる360年にわたる数学者たちの苦闘を描いた本。
 実際に証明が確認されたのは1995年とつい最近。当時は大学生だったが数学に詳しくもなかったため、証明されたことの意義はニュースを聞いてもわからなかった。

 この本では詳しい証明の中には入らないものの、証明の方向性が触れられている。
 一見無関係そうな楕円曲線の考えを利用し、背理法でフェルマーの最終定理を証明したことを初めて知る。
 この歴史的偉業に日本人数学者たちの研究も生かされていることを知り驚いた。
 
 何より印象に残ったのはフランスの数学者ソフィー。女性でありながら女人禁制の学校にもぐりこみ最終定理証明に一歩近づく業績をあげた。だれかマンガ化してくれないかな。フランスでもMANGAはやっているそうなのででフランス人自らマンガ化してくれるといいんだけど。

 ワイルズによる証明の発表のシーンでは涙がこぼれた。数学の本を読んで泣くとは思わなかった。
 ところがその発表した証明に致命的な欠陥が見つかる。
 「事実は小説より奇なり」を地で行く展開に最後までハラハラした。

 無機的な数式には、数学者たちの人生と熱意がこもっていることを実感した一冊。