2010年7月13日火曜日

「地上最強の哲学入門」

 






表紙イラストがインパクトありすぎるが、中身はまっとうな哲学入門。
 よくあるカタログ式の哲学者紹介本ではなく「真理」「国家」「神」「存在」の各テーマごとに古代ギリシャから現代までの綺羅星の如き哲学者たちの「討議」としてとらえなおしている。

 哲学というとカビ臭く普段の生活ではなんの役にも立ちそうにないが、現代日本の政治経済の混迷、ニートの登場や格差拡大が既に過去の哲学者たちによって予言されていたことを知った。
 たとえばマルクスの「人はなぜ働かなくてはならないのか」という問いにあなたは明確に答えられるだろうか。またニーチェが説く「神なき世界」に現れる無気力な「末人」とはまさに我々自身のことではないか。
 この状況を変えるためには自ら新たな「哲学」を生み出すしかないと強く感じた。「哲学」とは過去の遺物ではなく未来を切り開く鍵となるのだ。

 学校では教えてくれない哲学者本人の逸話も豊富で面白い。社会契約論のルソーは露出狂のダメオヤジだったとは・・・。逆にスコラ哲学のトマス・アクィナスは18歳の時に聖職者(童貞が条件)になることを親に猛反対され監禁された揚句、裸の少女まで送り込まれたのに耐え抜いたという。私だったら絶対無理!アウグスティヌス同様「下劣な情欲に燃え上がって」しまうのは必定。

 バキファンにはもちろんバキを知らない方にもお勧めです。

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